
影絵・文/石井昭さん(宇部興産〜テレビ山ロOB)
ここだけの「鶴の恩返し」
熊毛郡熊毛町
「鶴の恩返し」のお話というと、自分の命を助けてくれた男への恩返しに、鶴が人問の女性に姿を変えて妻となり、夫のために羽毛を抜いて美しい布地を織り続けますが、身の上が分かってしまった時、鶴に戻って飛び去って行く「鶴女房」のお話が最もポピュラーです。
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鹿児島県の出水と並んでナベ鶴の飛来地として知られる、熊毛郡熊毛町の八代。毎年、秋の収穫が終わる十月下旬、遠くシベリアから飛来するナベ鶴は、持別天然記念物として貴重な存在です。ひところ出水に比べ飛来数が減り心配されましたが、デコイを設置するなどツルを呼び寄せようとする地元の皆さんの努力が実って、飛来数も戻りつつあると伺いました。この熊毛町に伝わる「鶴の恩返し」は、他に類例を見ないユニークなお話です。 |
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秋、実った柿の実を食べようとして鶴の親子が来たところ、カラスに邪魔されて食べられず、これを見たお百姓さんが、カラスを追い払って鶴の親子に柿を食べさせてやりました。やがてある日、お百姓さんの子供が柿の種を喉に詰まらせて大変な騒ぎになったとき、あの鶴の親がやって来て、長いくちばしで子供の喉から柿の種を取り出して、子供を救ってくれました。神様は、人間と鶴が仲良くなったことを喜ばれて、八代の渋柿は吊し柿にすると種がなくなるようにされ、以来八代の「吊し柿」は「つる柿」と呼ばれるようになったというお話です。今日風に言えば、自然と人間との共生のお話と申せましょう。 |
![]() 長いくちばしで子供の喉に詰まった柿の種を取ってあげる鶴 |
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ツルの伝承を受け継ぐ熊毛町には、ツルが傷を癒していたことから発見されたという「くまげの湯」もあり、町では「人とツルの共存」をテーマに「ツルの里づくり」を推進しています。 |
*今回は熊毛町商工会の田中さんに伺いました。