
影絵 ・文/石井昭さん(宇部興産〜テレビ山ロOB)
鯨にかけるロマン (長門市青海島)
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海上アルプスの愛称で知られる、奇岩絶景の長門市青海島ここはまた古くから近
海捕鯨の基地でもあり、島の北東の端にある通(かよい)浦の清月庵観音堂境内に鯨の墓があり、また向岸寺には鯨の戒名を記した過去帳と位牌も残されています。毎年四月には鯨の供養が行われ、自然の恵みに感謝と畏敬を抱いた、当時の漁民の心を伝えています。
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鯨のような大きな夢
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この鯨に壮大な夢を抱いた男たちがいました。捕鯨はすでに国際的なタブーでしたが、それならいっそ捕鯨に古い歴史を持つこの山口県で鯨を飼育してしまおうという考えです。油谷町商工観光課の人 たちで、「愛鯨会」鯨を飼という会を作り、その可能性を探りました。鯨を飼いたい と思った場所は、日本海に向かって開く油谷湾です。各方面に熱心に提案し、油谷町でも地元の漁協の若い人たちの熱い議論が繰り返されました。何しろ油谷湾は、広さも水深も申し分ありません。地域活性化にかける皆さんの熱い思いに打たれたものです。実は、当時日本の至る所で鯨の飼育のブランが進行していました。しかし 実現までには巨額の資金は言うまでもなく、技術的な間題が山積みされていました。水族館や動物園の権威の方々に伺ったところ、まず捕鯨をどうするか次に飼育する餌はどうするのか、環境に及ぼす影響は等々。要するに飼育育条件がほとんど不明であるから、イルカやシャチなどよく分かっているものでスタートし、研究段階から始め て十〜二十年は覚悟が必要だとのことでした。もう一つ難題がありました。鯨を飼育 してどうするのか、捕鯨関係者はこれを牧場として食料にしたいという思いと一方にはむしろホエールウオッチング・観光資源でいいではないかという考えもあり、さらに湾の中に鯨を閉じこめなくても、餌つけをしてシーズンごとに鯨の群が回遊してく れればいいという意見もありました。しかし哺乳類ではありませんが、ヒゲ鯨と同じプランクトンを餌とするジンベイ鮫が水族館で飼育される現代ですから、いつの日にかこの夢が現実のものとなる時が来るかもしれません。
(宇部興産社内報「 ゆーびーいー」提供)